第4章 邪魔者
「智が俺の友人にまでヤキモチを
妬いてくれるのはけっこう嬉しいんだ♡。
だって、愛されちゃってる証だから…」
「………………」
「智!!、俺のこと愛してるんだね♡」
「だっ…誰が!!!」
「そうやって拗ねるのが証拠だよ♡
もーすっっっごく可愛い♡
でもー智大丈夫だよ。
伊野尾は男なんだからー。」
「俺だって男だ!」
「違う、違う。あなたは、大野智って生き物♡」
「な…何だよ…それって?」
「ふふ、智だけは特別んだよ。
俺が他の男とどうこうなるなんて、
ぜっったいにありえない。
大野智以外興味がわかないんだよ。」
「……………」
だけど、翔がどう思っていようと
伊野尾の方はそうではない。
(あいつはお前が好きなんだっ!!!!
気づけよ………………
………バカ………)
伊野尾の気持ちが、憧れなのなか、
友情なのなか……
やっぱり恋なのか……
伊野尾がどんな感情を抱いてるのか、
本当の事はまだわからないけど………。
でも、あいつの心の中には翔に対する好意が
絶対にあるに違いない。
ただ、それを幼馴染みとか
マネージャーとかって言葉で誤魔化してる
だけなんだ。
そして、翔を心配してるなんて言いながら、
一番の目的は、目障りな智を排除すること…
それぐらい、何度も男相手の恋を
経験してきた智にわからないはずがなかった。
時には自分がその立場に立って、
ライバルを蹴落としたりもしてきたのだから…。
だから、翔と別れてくれと土下座までした
伊野尾を見た瞬間に、智はピンときてわかって
しまったのだ。
あれは部員を想うマネージャーの顔でも、
幼馴染みを心配する顔でもない。
自分が選ばれなかったことを歯噛みする
嫉妬丸出しの男の顔なんだ!!!