第1章 新たな始まり
キンコンカーーン
と祝いの鐘さえ聞こえそうな
ビックリするような
ハッピーエンドを迎えたのだ。
それが四日前のことだった。
それ以来、翔は毎日のように現れて
智を誘惑するのだ。
「ずっと生徒でいたかったなぁ~」
まるで永遠を誓うようなセリフで
智のツボを突いてくる。
「お…俺は、お前みたいに
手のかかる生徒はいらないっ……!」
思わず飛び出した、
素直じゃない言葉さえも
「じゃあ、もう生徒じゃなくなって
よかったね。」
と余裕な表情で悠々と
受け止めてしまう。
(こ…こいつって
結構狡いぃぃぃ~!)って
心の中で地団駄を踏んでしまう。
6つも年下のクセに…
やっと高校を卒業したばかりの
18歳なのに、どうしてこんなに
落ち着いているのか?
甘やかされて
束縛されて
妖しい言葉をささやかれて
欲しい、
欲しいとねだられることが…
どれほど智の心をくすぐるかを
よく知っている。
それに引き換え、
智は24歳にもなっても、
未だにガキっぽさの抜けないのだ。
自分はいったい何なんだ。
俺は教師だぞ、
年上で、恋愛経験も
豊富なのに…………
なのに、女と付き合ったこと
すらない翔の腕の中で
メチャクチャに可愛がられて、
それがまた、ものすごーーーく
気持ちがいいってんだから…
腹が立つぅぅぅぅ~!
とまぁ…逆恨み?状態だった。
「本気で留年すればよかったと
思ってるんだよ。
先生を抱いていると思うんだ。
だってなんかそれだけで、
すっごく危ない気分に
なってくるから…………。」
「お…お前なぁ~、
正々堂々のスポーツマンが
そ…そうゆう陰湿な悦びに
目覚めていいと思ってるのか?」
「いいんじゃないの?べつに…」