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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第3章 新たな対手



まぁ…そっちのテクニックを磨いてやったって
意味では、恩師かもしれないけど…。

「ごめん……え~と、
翔のマネージャーさんだったよね。」

「伊野尾です。伊野尾慧です。」

マネージャーだからこの程度でいいだろうと
思わせるほど、サッカーとは縁遠い
細身の男だった。

たぶん身長173センチはあるかないかだろう。
前髪重めのマッシュスタイルが似合う
ちょっとカワウソぽい可愛い系の男だった。

スレンダーなパンツとカットソーに
身を包んでいると、
今風の女の子にも見えてしまう。

これが五十嵐だったら、
間違いなくアイドルになれるだろう。

「で、何の用?」

「あの……お願いがあります。」

と、言うなり伊野尾は、
突然その場にしゃがみ込んだ。

そう、玄関ポーチにだ。

「おい、何のつもりだ!!」
「失礼を承知で、学校に電話して住所を
聞きました。

こんなことをお願いできる筋合いじゃない
ことはわかっています。」

伊野尾は細い背中を丸めて
頭を床につさそうなになるほど下げて
叫んだ。

「翔と別れてください!!!!」

その瞬間、智は、意外なぼと冷静でいられる
自分に驚いていた。

(ついにきたか………この日が…)
そんな感じだった。

いつかは、誰かが言ってくるだろうと
思っていた。

それが、翔の家族でもなく、
彼女とかでもなく、
サッカー部のマネージャーというのは
少々予想外だったけど…。

「上がって…みっともないから……」

冷静というより、
まったく感情が欠如したような声が
智の唇から吐き出される。

どうやら、智自身少しでも覚悟ができていた
わけじゃない…。

ただ、現実逃避しているだけだったのだ。


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