第2章 足並みの乱れ
「それでなくても……
お前の取り巻きの中にも俺達の関係に気づいてる
ヤツもいるじゃないか……」
「……」
二人は、今まで迂闊すぎた。
智は自由奔放なゲイ。
翔は自主独往な男。
だから、二人とも人目を気にしないでいた。
さらに、今までは五十嵐学園という
男同士の関係を容認する特別な空間に
いたせいで、用心って言葉を
完全に忘れしまっていた。
そんなうっかりさんだったから
大学の取り巻きで、ソープ嬢だった女、
葉月に手を繋いでデートしている姿を
見られてしまうなんて大ポカをやらかしてしまい
大騒動になったりするのだ。
まぁ最初は、智は高校の教師で色々相談に
乗ってもらっているのだと言い訳を
したのだが、それが手を繋いでいいという
理由にはならない……。
女は鋭いから……
完全にやられてしまったのだ……。
誤魔化しても、
誤魔化しても……
いったん芽生えた火種は消えない……。
「マジでヤバイって……
これ以上妙なウワサが広がったら、
お前だって困るだろ?
サッカー選手を目指している
健全な学生なんだから……。」
「智…、どうしたんだよ。
前はそんなにコソコソして
いなかったじゃないか……」
「そりゃあそうだよ。
俺は今までは自分の性癖を恥ずかしいなんて
観念はなかった。
でも、それは俺が恵まれた環境に
いたからだったんだ。
高校も男子校だったし、
大学もデザイン学科だったから、
超がつくほど風変りな連中ばっかり
集まってたから、ゲイなんて程度で
驚くようなヤツはいなかったから。」
相葉の叔父さんには、幼い頃から自分の
性癖を打ち明けていたから、
いろいろとそっちの方の
勉強をしてもらっていた。