第2章 足並みの乱れ
むろんその後は……………
熱い熱い夜が待っているのだと……。
なのに、智の不機嫌そうな態度はなんなんだ?
「だいたい…俺と同居するとしてだ。
翔の両親とかにはなんて言うつもり?」
智は頬杖をついて、
ふてくされたようにピザを頬張りながら
呟く。
「もちろん!
智と同居するって!」
「はぁ~…お袋さん、卒業式でのこと
知ってるんだろ?
お前の暴挙を耳にして何って言ってた?」
「『あんたも大変ね~…
生徒会にいいように利用されて……』
って呆れてた。
少なくとも、智さんとの仲を
疑ってるような感じはなかったよ。」
「甘いなぁ~お前は……
身内ってのは思った以上に敏感なんだよ。
特に、お前の家族仲いいじゃん……
絶対に何か感づいてるんだよ。」
「……」
翔の家族はスポーツ一家だった。
弟は今年高校生になり
ラグビーの選手で
未来のオリンピック候補だった。
妹も陸上の選手だった。
足に怪我さえしなけれは
世界大会に出場できるレベルだった。
そして、両親も若い時はそれぞれ
スポーツ選手として
活躍していた。
つまり、揃いも揃って不屈の精神を
持った家族なのだ。
「翔の家はみんな健全な家族なんだろ?
その中でも、お前は長男だし期待の星
なんだろう?
その自慢の息子が、妙な教師と同棲生活
なんか始めたら、さすがに家族総出で
反対旋風が巻き起こることは
間違いないと思うよ。」
「妙な教師って…そんなこと俺は思わない。」
「あのなぁ~翔がどう思おうと、
世間からはそう見えるんだよ!!」
翔の世間知らずの考え方に
怒りが湧きあがってきたが、
すぐに何かに怯えるように視線を逸らした。