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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第2章 足並みの乱れ




夢のようだった。

踊り上がるほど嬉しかった。

だけど…
現実に同棲するとなれば、
乗り越えなきゃならない障害は
ありすぎて不可能だとは
わかってはいても、
言葉にしてくれただけで、
それまで抱いていた不安が一気に払拭された。
だから……
それだけで満足だった。

お互い忙しくて逢えなくても、
いつも、自分を一番に考えてくれる
気持ちだけで十分だった。

これ以上の望みは翔の足ヶ瀬になるだけだから、
もう身勝手を押し通すのはやめようと
決心したのだ。

「翔……一緒に住むのは無理だよ…」
「なんで?」

「そんなの、傍から見た場合だよ。
教師と元教え子が同居するなんて
必要性がないじゃないか…。

そりゃあさ…お前が手に負えない不良だとか…
俺が、身を挺してそれを更生させたい
熱血教師とかだったら、
まだ理解できるけど…

残念だから、俺はホモってウワサの教師だし、
お前はその俺を卒業式の会場からさらった
生徒なんだぞ…」

「……………」

「その上いっしょに暮らしたりしたら、
できてますって宣伝しているような
もんじゃん……。」

「卒業式のことは、
生徒会が企画したパフォーマンスだってことで
落ち着いたんじゃなかったの?」

「そうだよ。だから、寝た子を
起こすようなことをするなってことだよ。」

「……………」
だか、翔は納得いかないとばかりに
ムッと黙り込んでしまった。
智のために、講義や練習の合間を見つけては、
不動産を検索しては、通って探したのに……。

きっと喜んでくれると……
抱きついて、キスの雨を降らせて
くれるだろうと思っていたのに……。
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