第2章 足並みの乱れ
その瞳が最大に見開くと…
「翔ーーっ!!!!!
なんだこのザマは!?」
「ギョッ…カズさん?」
「いつから智がお前に
言い寄ったことになってる?」
翔が声のする方を見ると
鬼の形相の和也とその後ろで
オロオロしている葉月がいた。
「ちょ…ちよっと…何よ…」
「どけっ!!!!」
翔は女の子の輪から飛び出すとと
和也の前まで猛スピードで
駆け寄る
「すいません!!!!
悪いのはすべて俺です…」
和也の前まで来ると
どけ座をした。
「げっ…」
「うそ~…何アレ……………
かっこ悪い……………」
女の子達の冷ややかな声が響く中
「フン……当然だね。」
和也だけは翔を見下していた。
(ほ~らね。
カズの前で智さんの悪口は
厳禁なんだって……………)
誰が見たって
このブラコンぶりは行き過ぎだと思う。
だけど、それを止めることは
誰にもできないのだ。
------翔のかっこ悪い姿を見た女の子たちは
蜘蛛の子を散らすように
どこかへ行ってしまった。
「手厳しいですねぇ~
カズお兄さんは……
あれで好感度がドーンと下がったぞ。」
「いいんですよ。
べつに……
智さんが、何も言ってくれないから
さぐってただけですから……」
「ふ~ん……」
「それに……
カズさんを怒らせるのが
一番怖いですから……」
「なんだよ!人を鬼のように……」
潤は、二人の会話を聞きながら
バカにしたような笑いをした。
「クスッ、一番怖いのは
智さんじゃないのか?」
そんな潤に翔は、智の笑顔を
思い出しているのか……
いつもの仏頂面をしている男からは
考えられないぐらいの
柔らかな微笑みを浮かべ
「まさか……
あの人は、一番可愛い人です。
俺にとっては……………」
その言葉に、潤は
「さよか……」
と呆れ……
和也は……
なんとなくムッとした……。