第2章 足並みの乱れ
「で…会社サボって翔の素行調査ですか?」
和也は智との約束を果たすために
翔の大学に来ていた。
智の涙の元凶となっていることを
調査する為だ。
「どーして…そー甘いかなぁ…」
「だったらついて来るなよ。
目立つんだよ。
前がいると……」
和也はホントは一人で
こっそり来るつもりでいたのに……
見事に潤に見つかってしまい
一緒にくるはめになってしまった。
「いえいえ俺としても
あの二人には痴話喧嘩は
早いとこ終わらせてほしいんでね。」
「そうだな……
もうこれ以上智の涙はみたくないなぁ…
おっ?」
和也は頷きながらチラリとグランドに
視線を投げかけると
そこには、女子大生に囲まれて
楽しそうに話をしている翔の姿があった。
「なるほど……
あれじゃ智が不安がるはずだよなぁ……」
(あっ…ほんと、しつこい男)
和也と潤が気の木陰から翔の様子を
監視していると
葉月が翔を囲んでいた輪からそっと抜け出して
和也の元へ駆け寄ってきた。
そして、和也の腕を掴むと
「ちょっとー
先生!いい加減にしてよ!!」
「先生?」
「あんたさーしつこすぎない!」
「おっ?」
「ホントいい加減にしてよ!
せっかく翔がめずらしく
女の子と話そーって気になってるのに……
邪魔しに来たわけ!」
潤はそっと木に隠れた。
(これは、これは面白い……
他人のフリだなぁ……)
「先生!
前にも言ったでしょ。
翔はわたしをナンパしたぐらいで
ちゃんと女の子が好きなのよ……
ちょっとぐらい可愛いったて
先生は男じゃない……
同性に言い寄られて翔だって
迷惑してんのよ!!!
なんで、わかんないのーー?」
(あっ!!このバカ女……
言っちゃぁならないことを…
知らねぇぞー…)
和也の顔から笑みが消え…
空気が氷つくような、
冷たい目をすると…
その瞳が最大級に見開いた