第2章 足並みの乱れ
一方智は…
どうやって家まで帰って来たか解らない……
気がついたら……
ベットの中にいた……
俺は大バカだ……。
なんで女と付き合えなんて
言っちゃたんだよ…
ああ~~この口が憎い…
(経験つんでくりゃいいんだろ…)
つまんなくたっていいんだよぉ~
今だってメッチャ巧いんだから…
お願い帰ってこいよぉ~
ピンポーン
もしかしたら……翔が…
疑いながらもドアを開けて顔を
のぞかせてみた……。
「……あ……」
「よっほら……やっぱり泣いていた。」
「か……カズ……?」
こぼれおちそうなほどに
両目を見開いて、驚きの声を上げた。
自分によく似た男は、玄関の前に立っていた。
智は和也を招き入れる。
「やんなるんだよ…自分が…」
必死に唇を噛みしめていると
カズの温かい手が、
優しく頭を撫ででくれた。
「6つも年上で恋愛経験も豊富なはずなのに……
翔の事になると、メチャクチャで…
きっと…呆れられちゃた……」
「そっかぁ…」
「可愛い女と付き合い出したら…
俺なんか、きっと捨てられちゃう…」
「大丈夫だよ……智。
私が確かめてきてやるよ。
もしも、翔が智の言葉を真に受けて
女と付き合うようなら…
私がボコボコにしてきてやる…」
智は天使のような笑顔で微笑んで
和也の胸の中に飛び込んだ。
「カズ~…ありがとう……
ボコボコにしなくていいから……
今夜はそばにいてくれる?」
すりすりと甘える姿が
和也にはたまらなく嬉しい……。
「ん……ああ。
久しぶりにいっしょに寝ようなぁ~
さ、と、し♡」
大丈夫……俺には
何があっても和也という温もりがある。
強くなれる……
そうして、兄弟としての強い絆を感じながら…
2人は手を繋ぎながら
眠りについた…
和也と智が幸せそうに
ベッドの中で、抱き合っている頃…
松本家のでは…
「父ちゃん!カズからLINEがきて
今日智さんの所にお泊りだって…」
「チェッ!!
あの甘ったれが!!!!!
俺のカズを返せ!!!!!」