第1章 新たな始まり
今、智を見つめる目には
隠し切れない愛情が溢れている。
そりぁあ、その手の視線を
送くられるのは慣れっこだけど…………。
母親譲りの可愛いらしい容姿が
どんな他人をも魅了する。
24年間生きてきて
イヤというほど知っている。
智という男から出す
もぎたての水蜜桃のような肌からは
妖しいフェロモンが香り立ってくる。
誰もが褒めちぎる天使のような
可愛らしい笑顔を持ちながら
一方で、淫魔のごとき色気を漂わせる。
だから、誰もが智に魅入られる。
『神秘』とか『気高い』とか、
さらには男のクセに
『可愛い』なんていう
形容詞まで、耳にタコができるほど
聞かされてきた。
今や、聞きなれてしまい
面と向かって言われても
驚かなくなっていた。
そんな智なのに、翔の視線だけは
意識しないわけにはいかない。
それも、めったにお目にかかれない
微笑みなんか向けられると
胸が勝手にドキドキとドラムを
打ちはじめる。
「本気で留年すればよかったなぁ~」
なんて言われれば、
もう、クラクラもんだよ。
「そうしたら、もう一年、
先生とここで危ない遊びが
できたのになぁ~」
「おっ…おおおおお、お前なぁっーー」
智の脳裏には、
あれやこれや翔に手取り教えたこと、
もしくは、そのつもりでいながら
逆に翻弄されてしまった…
いけない課外授業がドバーーッと
浮かんでしまった。
頼りがいのある厚い胸…
乳首を愛撫する悪戯な指…………
素晴らしく見事な
男の証……………………。
何もかもが、忘れるはずがなく
智の脳裏に鮮明に蘇る。
そして、今もその感覚を
躰は覚えている。
そう、抱き締められた時の胸の熱きで
智の下半身は疼きだしてしまう。
(…………ん………?)
ふと、智は妙な感覚を覚えた。