第2章 足並みの乱れ
潤は、口角を上げると
厭らしい笑みを智に向ける。
「あら、珍しい…
智さんらしくもないことも
言うんだ……。」
「何ぃ?」
「だって、そうでしょう
悩んで……考えて……
諦められるぐらいなら、
最初から手なんか出さなきゃ
よかったんですよ。
俺には、到底無理だった…
カズを諦めるなんて
できなかった……………
だから、地獄の底まで
連れて行く気になった。
たとえ、それがカズにとって
不幸でも……」
「潤……私は不幸じゃないよ」
「カズ?」
「潤、間違えるな…
お前が私を選んだんじゃない……」
カズは潤の背後から
包み込むように抱きしめると……
潤の唇にそっと自分の唇を重ねた。
「私がお前を選んだんだ……」
(ちぇ~~なんだ、
二人はラブラブじゃん……
いいなぁ~……………)
そして、いつものごとく
翔が息せき切って姿を現したのは
ビール、水割りを平らげた智は完璧に
酔い潰れた頃だった。
そんな翔に潤は
「6つ年下なんて
言い訳にはならないからな!
頑固者で、甘ったれの男を
選んだのはお前だろ?
守り抜くのがお前の役目
じゃないのか?」
「……………」
翔はその真剣な眼差しに
何も答えることはできなかった。