第2章 足並みの乱れ
翔は俺の目を真剣に見つめては
「そうだよ。忘れないで…
俺を動かせるのは
智さんだけなんだから……」
これじゃどっちが年上なんだか…
なのに喜んでる自分がいる
繰り返し…
繰り返し翔が示してくれる強引さを…
あの時、俺をさらってくれたこの男は
恐れもなく、堂々としていて、
余興だとごまかさなくても
翔は、揺らぐことはなかっただろう。
デート中に街で突然声を
掛けてきた同じ大学の女
葉月あやに言われた。
「翔って……
けっこう、みんな狙ってるんだよねーー
先生…翔の彼女、どんな人か
知らない⁇」
って……………
そうか、やっぱりモテるのか
当たり前だよなぁ…
いい男だもん。
五十嵐学園は男子校で
けっこう男同士で熱々の奴らもいて
女もいなくて、いつの間にか
それが当たり前になってたけど…
世の中はそうじゃなかった……………。
そして、智が翔の大学に練習風景を
こっそり見に行った日のことだった。
突然葉月が、智に声を掛けてきた。
「あの~アタシ見ちゃったんだよねぇ~
あなたと翔が手を繋いでいるトコ…。
二人は付き合っているんでしょう?」
「な…ななな何をバカなことを…」
「べつにゲイだからって
文句言うんじゃないけど…
ちょっと狡くない~?
翔って今まで彼女とかいなかったから
経験が浅くて、男にハマったゃった
だけなんだとおもうの!
なのに、女と話もするななんて
押しつけて、普通の恋愛をする
チャンス奪っちゃうなんて
なんか狡いし…汚くない?」
(な…なんでそんなこと知ってるんだ?
女はエスパーなのか?)
「な…なんか勘違いしてないか?」
「クスクス……ねー
アタシ色々知ってるんだー
一年ほど前に翔にナンパされた
ことあるから…」
「え……?」
「てゆーか…
翔の方は、サッカー部の仲間に
引っぱられてしぶしぶぽかったけどぉ…
でもーーーー・・
ちゃーんとHはしちゃったんだーー
アタシのこと可愛いって
言ってくれたんだよねーーー」