第2章 足並みの乱れ
そうして、お腹よりも心が満腹に
なったところで、翔が何気に話を
振ってきた。
「でさぁ……例の件だけど……」
「ん…………?」
「俺、いくつか不動産屋を
当たってみたんだ…」
そういって、鞄から数枚のチラシを
出してみせた。
「不動産屋……って……?」
「いっしょに暮らすとなると、
やっぱり部屋は二つは必要だろう。
人が来ることもあるし、
ベットルームは絶対に人に
見せたくないから……」
「おい……」
「俺、夏休みになると、
合宿に入っちゃうから、
あんまり逢う時間が
なくなると思うんだ。
できたら、その前に引っ越しを
すませたいってのが、
ホンネなんだよね。」
「……しょ…う…」
「で、俺としては、
このあたりがお勧めかなぁ~
ここならすぐに入居できるって…」
賃貸マンションのチラシを指さして、
説明し始めた翔を
智は唖然と見ていた。
夏休み前にって…
もう一週間もないじゃないか?
そんな急に引っ越しなんて
できるもんか!
いや、その前にだ、
どうしてそんな話になっているんだ?
------そうだ、あれは……
二週間ほど前のことだった……
翔に群がる女達が、
あまりに仲がよすぎるのを
見てしまった智は、
翔とその女の関係を疑ってしい
「いいのか?
好きだって言ってくれる女が
いるのに…」
と、本当は心にもない攻撃的な言葉を
言ってしまった。
そんな智に、翔は…
「べつに興味なんかないよ。
でも、智さんは俺がその女と
話すのいやなんだろ?
だったら、もう話さない!」
「…なんだよ。
俺のせいかよ…
まるで俺がヤキモチ焼きで
わがまま言って、
お前の付き合いの邪魔している
みたいじゃないかよ…。」
「ふふ、智さん。その通りかもね。」
「やっぱり……
全部俺のせいかよーーー!!!!!!!」
まぁ〜そんな話をしながら、
街中で手を繋いでデートを
していたような…