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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第2章 足並みの乱れ



ただでさえ不安に
揺らされていた智の心に、
あの武井がズカズカと
土足出入り込んできて、
踏み散らかした。

「いったい何の権利が
あるんだよーーー…!」

吐き捨てた智の視界に、
床に転がったままになった
筆が映る。

長い間使い込んできた
お気に入りの一本だった
それは、真ん中でポッキリと
折れていたのだ。

「……うそ……!?」

油絵用の筆はそんなに
ヤワなものじゃないのに、
智の力で叩きつけられたくらいで
折れるなんて……

膝をつき、
筆を手に取った。

そんなになるまで
使い古したのだと思うべきか、
それとも…、
何かの暗示なのか?

口の中に、何とも言えない苦い味が
広がってくる。


だが、これから起こるであろう事は
今の智には到底想像も
つかないだろう…。

もしも、気づいていたのであれば
将来を見越してあらかじめ
手段を打っておくべき
だったのかも知れない。



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