第2章 足並みの乱れ
「一度、見たことがあるけど、
18歳にしては落ち着いた
感じのヤツですよね。」
ああ、お前とは違うよなぁ~。
俺は、何度も言うぞ…
落ち着いた大人の男が好きなんだよ。
たとえ年下でもだ。
「生徒達が騒いでいましたけど…
在学中からかなり人気が
あったんでしょう?
まぁ…見た目はまあまあだったけど…」
まあまあ?
おいおい……
お前自分の顔を鏡で見た事あるか?
翔がまあまあだったら、
お前はどうなるんだろう?
とムカつく思いを必死で抑える。
「大学で、もうレギュラーに
なったってのはマジですか?
モテるでしょうねー。
男子校の五十嵐とは違って
周りには女が溢れかえってるわけだしー。
となると…
今頃ウハウハのハーレム状態
ですかねぇ~」
瞬間、ブチッと頭の中で何かが切れた。
(こいつ!!!!!言っちゃなんねーこと
言ってくれたなぁぁぁぁぁ~!)
実際、翔の力は、高校サッカーだけで
終わるようなもんじゃなかった。
新入部員達の力を試すための
紅白試合で、翔は3~4年生の
混合のチーム相手に
縦横無人の活躍をし、
みごとハットトリックを決め
3対0で勝ってしまった。
大差で負けるはずの新人部員チームは
翔の攻撃によって、
先輩チームを惨敗へと
追い込んでしまった。
一躍時の人になってしまった翔に
女達が群がるのは
当然の成り行きだった。
たまに逢いにいっても
鉄壁の取り巻きのおかげで
そばに寄ることも
できなくなってしまった智は
少々……
いや、かなりご機嫌斜めで、
つまらない痴話喧嘩ばかりを
繰り返してきた。
『女にキャーキャー言われるのが
そんなに嬉しいんだ……』
『新しくできた友人の方を、
優先するんだね!』
『結局翔は、俺よりサッカーの方が
大事なんだ。』
と重箱の隅を突っつくような
些細な嫉妬の繰り返しで
かなりヤバイ局面を迎えたこともあった。