第2章 足並みの乱れ
熱血スポーツドリンクの
CMにでも出できそうな、
見るからに体育会系の濃い顔。
陽気で、素直で、
ガッツがあってと…
まぁ〜そう言えば聞こえがいいが、
智から見れば、
だだの世間知らず?
出しゃばり?
目立ちたがり屋?
たぶん、子供の頃はガキ大将だろう。
情熱も行動力もありあまっていて、
グイグイと人を引っぱっていく
エネルギーは自己主張の下手な奴には、
憧れの存在になるかもしれないが……。
武井のようなタイプは、
感激屋、好意や嫌悪を
隠すことなく、
いったん惚れたらまっしぐらの
猪突猛進タイプなのだ。
たぶん、煩わしいと
避けられていることにすら
気がつかない、
ある意味犯罪じゃないか?
と智は思ってしまう。
で、その武井が今、隣に座っている
可愛い先輩教師に向かって好意を
持っているってことは、
智ではなくてもわかってしまう。
(でも、ごめんよ。
俺はやっぱり翔みたいな、
そこにいるだけで、
自然に目がいってしまうような
イケメンが好きなんだ。
デカい声と大仰な身振りで
存在をアピールしないと、
存在に気がつけないような男は、
本当にダメなんだ。
他を当たってくれ……。)
と、ここ数日やたら視界に
入るようになってきた男に対して
『ダメだ!
メチャクチャうざいヤツだ~』
と感情を抱いてしまった。
「昨日、サッカー部の連中が、
そんなウワサしてたんです。
あれでしょう?
櫻井翔って
時々顔出すOBですよね。」
ひたすら黙っていた智の態度など
気にもせず、
武井は一人でしゃべりまくる。
それも、食事を噛みながら……
カツカレーとキツネうどんを
交互に食べながら……。
おいおい……それって……
行儀も悪いし…
作ってくれた人に失礼じゃないか?