第13章 ー番外編パート2-変態惨状!!
翔はキッパリそう言うと適当に路地を曲がり、
人影のない駐車場に車を停めた。
そのままシートベルトを外すと、
助手席にいる智に手を伸ばす。
「っ翔…!?」
その手で頬を優しく包まれたかと思うと、
咄嗟に唇を塞がれた。
「っふ…!!」
強ばる唇を割って入り込んでくる、
滑らかな舌。
少し強引で、それでいても優しい口付け…
「んん、ぅ…!!」
こんな所でするのは、初めてのくせに
いつものごとく巧みな舌使い。
智は抵抗することすら忘れて溺れていく。
「…翔…もしかして……怒ってるの…?」
熱く長い口付けのあと訊くと
翔は顔を真っ赤にしたまま、
泣きそうな顔で俯いて黙ってしまった。
突然の奇行に戸惑いはしたが、
智は翔をなだめるように頭を撫でてやった。
生徒とのコミニケーションが
上手くいかないことよりも、
恋人でもある翔にそんな顔されることが
一番つらい……。
「俺…そんなに笑顔の安売りしてた…?」
問いかけると、翔はゆっくり顔を上げた。
「…智が…授業中にダビデ像なんて持って………
ニコニコしながら……指導して…」
「は……!?」
「……その上『上手じゃないかっ!』って、
ニコッて微笑みまでして……
さっきあいつらが言ってたんだ。
今夜のおかずは智先生の笑顔だって……」
「!!!!!!!!!!!!!」
再び上がる、声にならない声。
「何言ってんだ、お前…。
……本当なのか?………それって….…」
「…だってっ…!!……俺、3年の教室の前で生徒がそう言ってた…」
翔は遠くを見る。
「お前…そんな事、気にしてたのか…?」
半ば呆れた智は、笑いながら翔を抱き締めた。
「…智…?」
……可愛いやつ。
智はクスリと笑うと、翔の半開きになっている唇を優しくなぞった。
「へぇ〜変な事で拗ねるんだ……」
「っそんな…」
そのまま自らの唇を翔に重ねる。
そっと、触れるだけの口付けた。