第11章 最後の虚言
「でも、今日から同僚の教師だから、
また、先生って呼んでもいいわけだよねー」
「まぁ…そういうことになるね。
でも、いいか?今日からお前だって
櫻井先生なわけだぞ」
「もちろん!」
翔は小さく頷くと
智の耳元に唇を寄せて、
とんでもないことを囁いた。
「教師と生徒の禁断の恋ってのも
結構、乙なものだったけど…
6つ年上の先輩教師を
犯りまくる後輩教師ってのも、
なんか萌える設定だと思わない?」
「はいぃ~?」
「なんか、メチャクチャに泣かせてやりたく
なっちゃうなぁ~……。」
「翔!!!おっ……お前……まさかと思うけど……
ヘタレのくせに、シチュエーションで
萌える変態だったとか…?」
「えっ?智今頃気がついたんだ!!」
「!!!!」
「智、俺達何年付き合ってるわけ」
「だ……だって……」
「これからは、毎日たっぷり可愛がって
あげるからね♡
智せんせー♡♡♡」
「!!!!!!!」
とっておきの甘ぁい声音を響かせると
翔は生徒達の目を盗んで
チュッと智の唇を奪った。
智はもう返す言葉も失い、茫然と立ち尽くす
すでに5年目に突入した恋人が
実は、変態で先生に悪戯をする
シチュエーションを画策していたなんて……
(お、おーいーーーっ
清廉潔白、正々堂々、
スポーツマンシップ溢れる
さわやか路線キャラはどこへいった!?)
心で底で驚愕の叫びを上げつつも
何年たっても新しい発見のある翔に
ギャップ萌えしながら、きっとこれからも
メロメロにされ続けていくんだろうなぁ~と
嬉しいようなくすぐったいような想いに
揺さぶられ共に歩んで行くのだろう。