第11章 最後の虚言
今まで誰もこんなに切望してくれなかった……
誰一人として、ここまで束縛してくれなかった。
自分の人生のすべてを贖罪によって
繋がれたことで、初めて失う事への不安から
解放された智は……、
この時とばかりに鮮やかに咲き誇る。
「ああ……、翔……、
お前だけを愛してるーー!!!」
その可愛らしさと美貌の持ち主に
愛の告白をされて、抗える者などこの世に
存在するはずもない。
翔の躰が一際大きく跳ねて
ほとんど同時に2人は絶頂の瞬間を迎えた。
ああ……、翔こそ唯一無二の存在なんだ。
だから、もう二度とこの男を疑ったりしない。
我が儘で、頑固で、自分を愛してくれた翔を
今度こそ信じてみよう。
いいや、信じ続けてようーー!!!
智は、固く心に誓いながらも、身体はすでに
限界だった。
弱り切った身体で翔を全身全霊受け止め
もうすがりつく力さえ失い、
あとは、ただ寄せてくる波を、心から愉快に想い
喜びに呑まれていくだけだった。
「あっ……ああっ…
ああぁぁぁぁぁーー…………」
身の内に翔の男の熱いほとばしりを感じた瞬間
真っ白にスパークして意識の中で
智自らも、また愛の証を弾かせたのだ。
ーーーそうして、ゆったりと深い眠りの中に
落ちていった智は、愚かにも翔の言葉を
完全に鵜呑みにして騙されてしまっていた。
そう、翔のついた一世一代の大ウソに……