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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第11章 最後の虚言



なんとなくわかっていた……
あの日、病院の廊下で責められた時から……
あの母親は、最後の最後まで
知らないフリ、聞かないフリを
し続けるだろうって……。

自分の息子が同性の恋人と
付き合っているなんて、
決して認めてはくれないだろうと……。

「翔……親としては、真っ当な反応だと思うよ。」

「どこが?
俺と智が関係してたことは変えられない
事実なんだよ。

それを見ないフリをしてすませようなんて……
そんなのおかしいだろ!!」

「ふふ…うやむやにしていれば、
そのうちお前が諦めるだろうと思ってるんだよ」

「諦める……?」

「ああ、だから来たんだろう?」
「来たよ。」

翔は逸らした視線を元に戻し
小さく頷いた。

その瞳には、決意の色が見えた。

(さぁ…いいよ。
心の準備はできている……
別れを言うなら、キッパリ言ってくれ……

中途半端にされるのが一番辛いんだ……)

だから、涙に濡れた目で、

しっかりと翔を見据える。


どんなに辛い言葉を聞かされても
それを受け止めて

感情を爆発させればいいんだ、
そうしないと、自分はこのまま静かに

死んでしまうから……




止まったはずの涙が


再び溢れてきた。



もっと泣いていいんだ……

もっと、もっと、泣いて、
すべて流れ出してしまおう……。

こんな辛いだけの恋なんてーーーー…!




最後の瞬間を待ちながら見つめ続けた翔の唇が

ようやく開いた……。


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