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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第11章 最後の虚言



「誰も告げ口しなかったのなら、何でいるの?」

「智の『許さない』が効かない人が
教えてくれた。」

「え……?」

「潤さんだよ」

「……あ……」

「カズさんが智とシンクロしちゃって
今じゃ夜の楽しみにまで影響が出でるから
何とかしろってさ……」

「フン……勝手なヤツ……」

「でも、俺、潤さん好きだよ。
自分の欲望が一番で、それ以外の事なんて
どうでもいいんだ。

ただ、カズさんを独占したいと考えているから
あそこまで徹底して生きているんだよ。
ある意味、すごいと思うけど……」

「徹底しすぎていて、あいつはカズの幸せなんて
考えてないんだぞ…
自分の私利私欲の為だけなんだよ……」

「あっそれ、潤さんも自分で言ってた……
でも、それだっていいじゃん。

潤さんは自分のそばにいることが、
カズさんにとって一番の幸せだと根拠もなく
信じているんだから……」

どこか羨ましげに言うと
それに比べてと、翔は自嘲の溜息をついた。

「俺は、そこまでの自信がなかった……
本物のヘタレなんだよ……」

「……翔……?」

「俺のそばにいれば、智に変な気を
遣わせるだけだって……

そのことばかり気にかかってた……」

翔の苦しげな告白が、
智の胸に失望の予感となって広がっていく。

「サッカー部の連中に邪魔されたり
お袋が智を責めたことを聞いて…
これ以上俺がそばにいると、
よけいに智を傷つけて…苦しめて…
しまうんじゃないかって……」

戸惑いながら

次第にそれていく視線……

それが、翔の揺れ動く心の中を物語っていた。

(ああ……、やっぱり……

翔は別れを告げようとしているんだ……)

きちんとケジメをつけないと
この先、二人とも新しい道を
歩んでいけないから……


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