第11章 最後の虚言
そして、瞼に、頬に、唇に、触れるだけの
優しいキスのの雨を降らせる。
「ごめん…。俺のせいだ……。」
謝罪の言葉を綴りながら……
「こんなことになってるなら、
我慢なんてするんじゃなかった……」
と、何度も、何度も、繰り返し口づけをする。
「もしも、俺が足を引きずりながら現れたら
絶対に智は自分のせいだって責任を感じると
おもったから、必死にリハビリをしてたのに……
これじゃあ、治るまえに智が死んじゃう
ところだった……」
自分の愚かさを呪うように吐き出すと
乱れた智の前髪を掻き分けて
青白い頬に唇を押し当てる。
「智…ホントにゴメン…。
ほっといたつもりじゃなかったんだ。
でも、智に何かあったら、カズさんか雅紀が
言ってくるだろうって、楽観的に考えてた……」
「違う……。
俺がいったんだ。お前に余分な告げ口したら
一生許さないって……」
「あんたの『許さない』って言葉ほど
恐ろしいものはないもんな……。」
翔のおちょくる言葉に、智は、ようやく
弱々しくながら微かに微笑んだ。