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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第10章 落魄



一番可愛く見せたい相手を
失ってしまった以上、
他の誰にどんな誉め言葉をもらっても
何の意味もない。

「もしも、智が倒れでもしたら
大野や相葉の馬鹿どもが、また、翔先輩を
逆恨みして何かしでかしたらどうするの?」

「ふふ…それは大丈夫だよ。
そんなことしないから……。
翔に手を出したら
『今度こそ一生許さない』
『今まで隠してきた裏の情報を
すべてマスコミに垂れ流してやる!!!』
って脅してあるから……」

なんとも子供っぽい脅しだけど
智を愛し、性格をよく理解している身内には
これが何よりもよく効くのだ。

天下無敵の相葉勝久も、智也と達也も、
さらには智が一番たよってる和也でさえも
同じことだった。

「雅紀……、お前、翔の様子を
見に行ってくれるのは嬉しいけど、
よけいなことは言うなよ。

俺は毎日ちゃんと学校に来て
授業をして、今までと変わらない生活を
送っているんだから……」

「…………」

「安心して……
俺は、余分なことは言わないから……
ただ、倒れるのだけはダメだよ……

また、面倒なことが起きちゃうから…………」

「俺は大丈夫。」

「智さん……そういう事を言う人って
大概が大丈夫じゃないパターンなんだけどね。」

雅紀は、チラっと時計に目をやり
そろそろ5時間目が始まる頃だね
と、言って教室の方へ歩いていった。

「ふふ…よけいなお世話なんかしないよ…………。
少なくとも俺はね…………。」

と、最後に意味深な言葉を呟いたのだが…
今の智にはそれを深く考える
余裕なんてなかった。

「……それでいい……。」
ただ、ポツリと呟きを返した。

誰もよけいなことをしないでほしい。
しなければ、いずれ翔は自然に自分を
忘れていくだろう……………。







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