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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第10章 落魄



『なんで智も一緒に旅行に連れて
行かなかったのだろう……』
と、後悔しきれない様子の和也は
以来、智の身体を気遣って
こまめに食事を作ったり、
運んできてくれていた。

ついでに、翌日分まで用意しておいてくれ
ちゃんと温め方までメモってくれることもあった。

少なくとも、和也が用意してくれた料理を
残したり捨てるなんてことは絶対にしていない。
ただ、それがなくなってしまった後は
どうしているのだろう…………?

学校での昼食は?

今は昼休みだった?
食べたとしたらついさっきのことなのに……

記憶にない……



毎日が、惰性のように学校に通い

授業をして……

家に帰って……



ボーッとしてる間に1日が終わる。


お腹がすいたとも感じないから
和也が来ない日には

ソファーで倒れるように寝てしまう……。

不思議なことに夢も見ないから
もしかしたら……横になっただけで
実は熟睡してないのかもしれない…………

でも、それすらよくわからない。

記憶がひどく曖昧だった。
昨日のことさえ思い出せない…………。

「ちゃんと食べなきゃダメだよ。
顔色だって、どんなに悪いか気がついてないよね…」

雅紀が心から心配してくれてのに
言葉は耳を素通りしていってしまう。

「そんなに悪いかなぁ……?」

「悪いなんてもんじゃないよ!!!
全然寝てないんじゃない?
目の下にクマさんが何匹もいるよ……。」

「そう……?」

「せっかくの可愛い顔が台無しだよ。」
「……可愛くないし……」
と、いかにもいつも通りに智は振る舞う。

顔色が悪かろうが
目の下にクマができようが
そんなことどうでもいい……





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