第1章 新たな始まり
智は、きっと過去の恋人達に
捨てられるたびに、
自分の性癖を呪ったのだろう。
感情的で、けっこう泣き虫だから、
そのたびに目が溶けてしまうほど
泣いたのだろう。
ゲイであることの苦しみや、
悲しみは、翔が想像できないほど
味わってきたはずだ。
だからこそ智は、
ノーマルなはずの翔が、
同性愛なんて未知の領域を前に
一抹の不安も見せないのが
納得いかないのもわかる。
だけど、今は智とこうして
一緒にいられることが嬉しすぎて、
余分なことは考えられない。
欲しくて…
欲しくて…………
欲しくて堪らなかった人が
やっと自分の腕の中に入って来たのだ、
嬉しくないはずがない。
世間の常識なんて
そんなことはどうでもいい!!!
当たり前の人生など
クソくらいえだ!!!!!!
この可愛い人を得た幸運に比べれば
他の何もかもが色あせて見える。
勝手に顔がニヤケてしまうのは
もう止められない。
「なっ…何がおかしいんだよ!!」
涙目で見上げてくる仕草さえも
可愛すぎだろ…………。
「智さん、ホントゴメンって……」
と、今にも溢れそうになっている
涙を拭ってやる。
「けっこう俺もガキなんだよ。
好きな人をついつい
虐めたくなるなんて…………。」
「俺は…、
虐められたくなんかないもんっ!」
「そうだね……
泣かせるのは俺の腕の中だけでいいよ。
たくさん鳴かせてあげるからね。」
「なっ…………!?」
「だから……
挿れさせて…………智……」
優しく智の両足を抱え上げ、
放り出されたままの入り口に
自らの昂ぶりを押し当てる。
「……あっ…………!?」
耳元に囁きかける甘やかなバリトンが
智の意地を溶かしていく。