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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第9章 夢浮橋



一歩離れるたびに……
ギリギリと胸に何かが突き刺さってくるような
気がした。

本当は、翔のそばにいてあげたい。
一番そばで見守っていたいのに……。

たとえ手術が無事に終わって、
集中治療室に入ったとしても
翔に面会することは許されない。

それは、家族のみしか認められない事だから……

そんなことは、イヤと言うほど知っていた。


今までだって何度も考えた。
愛する男といっしょに暮らすように
なった時のことを………………。

だけど、たとえ同棲しても、結婚はできない。
もしも…………
今回みたいに事故に遭遇したり、病気になって
愛する者がキズついてしまった時
そばで見守ることはさえ許されない存在。

それが男同士で愛し合うということの
意味ーー…!
自分達はどんなに努力しても家族にはなれない。
認めてはもらえない………………。
それが真実であって事実なのだ。



ノロノロとした足取りで、
ようやくたどり着いた待合室。
時計の針も18時を回り
外来患者も少なくなったその時間
空いている椅子に智は力無く座り込んだ。

たとえ、そばにいることはできなくても……
病院から離れることはできなかった。

「ゴメン…翔………………。」

謝るしかできないけど…

願う事しかできないけど………

お願いだから、お願いだから、神様
翔からサッカーを取り上げないでーーー。

お願いだからーーーー!!!!!







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