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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第9章 夢浮橋



「あなた……いったい翔の何なのーー!?」

「………………!!」

瞬間、グッと智は唇を噛み締めた。

(ああ………、もう誤魔化せない。
この人は気づいている………………)

母親の勘とでもいうのだろうか?

自分の息子が同性愛者だなんて
考えたこともないだろうし、
そんな人類がいること自体、
まったく意識したことはないだろう……。

それでも、何か妙だと…
感じているのだろう。
ただの教師と生徒の関係ではないと…

この男は近づいてはいけないと………………。
わけもなく感じているのだ。

自らの身を削って生み出した命だから
その足を引っ張ろうとする者の存在には
無意識に防衛本能が動くのかもしれない。


「黙ってないで応えなさいよ!

いったいあなたは、息子の何なのぉっ…!?」

ブンブンと智を揺さぶる母親の剣幕には
鬼気迫るものがあった。

「何なのよぉぉぉぉーーー!!!!!」

愛する子供を守ろうとする母親の問いが
廊下に響き渡る。

「母さん……もうよしなよ。
今は、そんな場合じゃないだろ……。」

翔によく似た弟の修が、
母親をなだめながら智から引き離す。

「先生を責めてもしようがないだろう。
翔が先生を庇ったって言うんなら
それは、兄貴が選んだことなんだから……。」

こんな非常時に、兄の気性を考えて
母親をなだめようとする修は
姿だけてはなく性格まで
翔に似ているようだった。

いや、たぶん、この一家は
みんなそうなのだろう。

優しい、優しい家族なのだ。

翔の愛した家族なのだ。

だったら……

もう誤魔化すことなんかできない。

いま、逃げたら負けてしまうから………………





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