第8章 魅惑な美
「…………あ………!」
武井の表情が変わた。
素早く、上に乗っていた智を抱きかかえると
そのまま体勢を入れ替えてベットに押し倒した。
「冗談じゃない!!!!
ようやくここまできたんだ!!
一度だけなんかですむもんかっ…!!!!」
「だったらどうする?」
「どんな手段だってある!!
そうだっ!!!恥ずかしい写真を撮ってやろうか?」
「あははは…………」
「何がおかしいんだよ!!」
「そんな陳腐な手段しか浮かばないんだ…
そもそも俺にそんなことが通じると思って
いるんだ。
心外だなぁ……
よく覚えておけ!!
俺は自分か望まないかぎり、
誰にも捕まらない。」
そうして智は自分を剥きかかってる男に向かって
あくまでも冷ややかに告げた。
「残念だったね。
もたもたしているから……
タイムオーバーだよ………」
その瞬間、武井はすさまじい力で肩をつかまれて
ベットから引きずり下ろされた。
「うわっーーー!?」
いや、転がされたと言った方が正解だろうか?
いきなり床に押し倒され、
腰を打った武井の目に飛び込んできたのは
仁王立ちになった翔の姿だった。
「遅いよ!!」
と、ベットから一言、声高に智の声が響く。
こんな時でも智は自分のペースを崩さない。
「あのねぇ……智、いきなりそれはないよー。」
翔は、ほとほと疲れ切ったように
息を吐き出す。
この人の感覚は、もうどうしようもない……。
だいたい、自分から武井についていって
それも手がかりさえ残していかないクセに…
絶対に翔がここに来ると…
必死に探して駆け連れてくれると
思い込んでいる。
「俺をほっておいたお前が悪いんだよ…。
早くここに来て…
俺を抱いて!!!!!」