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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第8章 魅惑な美



自分をほっておけば
こうなるのだと見せしめの為だけに

この男を使うのだから………。


なのに、この男はそのことには
気か付くこともなく
智の躰にのめり込んでいる武井は
無様なだけだった。

「ふふ……。」

智の口から、嘲笑いが漏れる

「何が…おかしいんですか?」

「だって……笑えるよ。
あんた、必死になってるんだもん。」

「え……?」

「そんなに俺って魅力的?」

妖しく笑う智の姿は、可愛いとかキレイとか
なんてそんな言葉で表せられるものでは
なかった。

武井だって、今まで女も男もそこそこ
抱いてきた。
だか、智はその誰とも比べられない……。

誘う目……

赤い唇………

頬に触れられる指先は魔法のような動き
触れる肌からは甘い果実のような香りが
立ち上がる。

何のかもがそんじょそこらの娼婦より淫らで
それなのに、そのどこにも下品な印象は
感じられない………。




いや………
むしろ気品さえ感じる。

天上から舞い降りてきた天使が
自分の上に跨っている………。

そんな気分さえした。
すさまじい愛くるしさに目眩さえしそうになる。

高貴な物だからこそ、犯したい………
自分のモノにしたい。

それでも、心のどこかでは、
自分なんかが犯していいものなのかと
戸惑ってしまう…

そんな武井の心中など、
男の視線に触れた智には
わかりすぎるほどわかってしまう。

「いい…たっぷり味わっておけよ
一度だけの快楽なんだから………」

濡れ光る唇が、
残酷な宣言を耳元で下す。


その言葉に、武井がハッと我に返り
怪訝な声で訊き返す。

「………一度だけ………って……?」

「当然だよ………。
武井先生はただの当て馬だからね………。」
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