第8章 魅惑な美
智は、ドンと両手で武井の身体を
突き飛ばす……。
その巨体が、あっけなく背後のベットに
倒れ込む……。
智は武井の上に馬乗りになると、
ゆっくりと自ら自分のシャツの前を
開き始める…。
きめ細かな肌が現れる。
「触ってみて?」
甘い匂いが漂ってきそうな甘い囁きなのに…、
でも、どこか挑戦的に感じさせながらも
冷酷さを含んだ声か誘う……。
武井は何か神々しいモノを犯すような
罪悪感さえ感じながら……
震える手が伸びてくる。
オズオズと肌をまさぐり
胸元で扇情的なほど愛らしさをかもし出している
ピンクのアクセントに触れる。
「す・すごい……!!」
吸いつくような滑らかさに
武井は息を呑んだ……。
「こんな躰が……」
と、いつの間にか両手で、
智の躰を撫で回している。
「ああ……信じられない………!」
だが……
武井が夢中になればなるほど
冷めていった………………
翔の方が、情熱的で………
翔の方が……わずかに体温も心地いい……
翔の方が……張りのある肌をしていて……
翔の方が引き締まった筋肉だった…………
翔の方が愛おしい………………。
指先の動き一つまで翔と比べている。
あまりの違いに、
驚くより笑いたくなってしまう………
こんなにも興味のない男は
つまらないものだったとは………。
欲望の微塵も湧いてこない……。
不快とか、気持ち悪いとかさえ感じない。
だって……まぁ…そんなものだろう?
こんな道具みたいな相手に、
貞操を守らなきゃと思う人間がいるだろうか?
いや、それほどの価値もないかぁ……。
ここにあるのは、翔に対するお仕置きの道具で
しかないんだから……。
自分をほっておいた翔が悪いのだから……。