第7章 雲隠れ
「翔先輩いい?
智さんとこれから本気で
付き合っていきたいのなら………
特に、智さんを溺愛している
相葉と大野の男どもの言葉は、
まず疑ってかかることを勧めるよ。
まぁ…唯一の例外はカズさんだけだよ。」
「何………?」
「特に智也さんと達也さんは、
邪心の塊だから絶対に信じちゃダメ。
そのへんはお忘れなくだよ。」
「そ、そんな………」
もちろん、翔だって、大野の腹違いの兄弟の
存在は知っている。
そして、その二人が智に肉親以上の感情を
持っていることは聞かされていた。
だけど、和也が純粋に智を弟として
愛しているのを目の当たりにしているせいか、
智也と達也に対してあまり警戒心を
抱いていなかった。
危ないとは聞かされていても………
弟を想う気持ちはウソじゃない………
和也の感情の2~3倍ぐらい
大きいだけだろう………。
そんな風に思ってしまった。
「まぁ…ウチの親父だけなら、
智さんを泣かせたあなたへの少々のお仕置きの
つもりぐらいですんだんでしょうが………
そこへ智也さんと達也さんが加わると……
『これはいいタイミングだ!!
思い切って別れさせてしまえ!!!!』
って方に、ドーッと考えが雪崩れ込んで
いくんだよ。」
「じゃ…智は………?」
「たぶん今も相葉の屋敷にいるはず。
俺も飛行場から直行したから、
詳しい事はわからないけど………。
翔先輩がここで、きっとあの窓あたりから
自分の姿を見てくれているだろうと思いながら
待っている間、智さんの方は相葉の家で、
あなたが連絡すらくれないと
泣きながら暮らしていたんだと思うよ。
可愛そうな智さん………。」
「なっーーーーー!?」