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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第7章 雲隠れ



大野屋敷の正門前ーーー

もう4日もここに通っている。

いっこうに自分のために開こうとしない門扉を
見上げながら、翔は呆然と佇んでいた。

しょうがないのだ………
自分が悪いのだから………

これが智の怒りの深さなのだと。

言い訳一つできない状況にしてしまったのは
自分なのだから………。

伊野尾や岡田の芝居にだまされ、結果的に智を
裏切ってしまった。
すべては自分が招いた結末。

この門が開いて、智が姿を現してくれるまで
ひたすら通い続けるのが自分の義務だと、
翔は心に決めていた。


八月の日差しが、
ジリジリと容赦なく翔に降り注ぐ。

それでもサッカーで鍛えた体力だけは
自信があった。

日差しに身を隠そうなんて思わなかった。

そんなことしたら、屋敷のどこかの窓から
自分を見ていてくれるかもしれない智の目に
入らなくなってしまう。

諦めて帰ったと勘違いされて………。
また絶望されるかも知れない………。

だから、バックに入っている
スポーツドリンクで喉を潤し、
タオルで汗を拭いながら、
猛暑と言われる日差しと闘っていた。




ふと、目の前に一台の車が
滑り込んできたのだ。

そのまま通り過ぎるかと思ったそれが、
翔の前で停まった。

後部座席のドアが開いて、
降りてきた少年を見て
翔は掠れた声で呟いた。

「雅紀……?」

少し疲れたような翔の顔を見て
相葉雅紀は、深いため息をついた。

「ホントにいたんだね。
ここで何日待ちぼうけを
食らわせれていたの?」


「……4日目になるかなぁ……」
「はぁ~…………。
翔先輩、何でそんなに頑張れるの?
ホントに呆れてものも言えないよ……」

「………怒らせたのは俺だから………。」

「でもーー」
「俺がいけないんだ。」

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