• テキストサイズ

もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第7章 雲隠れ



鉄格子の間から少しでも顔を見る為に
少しでも話をする為に、毎日同じ場所に
来るのだった。

これが、翔だったら
ロミオとジュリエットみたいで
どんなに嬉しいことなのか………。

と、武井の顔をみるが
はぁ~…やっぱり、何とも思ってないヤツじゃ…
かえってガッカリするだけなんだよなぁ~。

「はは………。」
智は乾いた笑いを吐き出した。

「なんで……こいつがロミオなんだよ………」

「ロミオ………?
大野先生さっきから何をそんなに
嘆息を漏らしているんですか?

あっもしかして………
櫻井からの連絡がまだないんですか?」

「それは………
だって…あいつは、プロになれるか
どうかって時なんだよ………
そうそう俺のことにかまけている
時間なんか………



ないだろうし………


ただでさえ、この前…無理矢理呼び出し
しちゃったから………。」

と、まぁ…それは自分に対する言い訳に
過ぎない。

大事な時だから来られないだと、
そう思いたい。

サッカー選手になるのが翔の夢だから
それが、今現実になろうとしている時に
こんな我が儘な恋人のご機嫌を取るために
練習を抜け出すことなんかできるはずがない。

と、毎日、毎日自分に言い聞かせている。

そうでなければ、智は不安の感情に
押しつぶされそうに なる。

飽きられた…
嫌われたなんて、そんなこと思いたく
ないから………。

「あいつにも色々あるんだよ。」

と、呪文のように繰り返すことで
納得しようとしている。

武井だってバカじゃない、
智の不安に気がついたのか
大きな顔を柵に押し当て

「待ってるなら、逢いに行きませんか?」

なんて、妙にまともなことを言ってくれる。



/ 238ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp