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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第6章 姑息な悪だくみ



口を濁す伊野尾に、苛立ちを隠せない翔は

「お前が言わないなら、すべて事情を説明して
実家に連絡して聞くだけだ。」
「言うよ…。

小児喘息はもうすっかり完治しているんだ。
でも、肺活量が少ないのはホントなんだよ!


ただ…………
成人男性の基準より低いだけで………
日常生活を送る分には支障は無いぐらいで……

だいたい本当に身体が弱かったたら、
サッカー部のマネージャーなんか、
親が許してくれるわけがないよ。」

「じゃぁ…やっぱり俺をずっとだまして
いたのか?」
「………………」
「お前、大学で再会した時からそう言って
なかったか?

その時は、まだ智のことを知る前だよなぁ…」

「それは…。」

「俺の同情を引きたくて、
最初から演技していたってことか?」

「だって……


だって……俺……ずっと…、
ずっっっと昔から翔の事が

好きだったんだーーー!!!」


ついにホンネを暴露した伊野尾だったが
翔には、どこか遠い過去の映像でも
見ているかのような気持ちで冷静に
伊野尾を見つめててた。

「翔……」

『翔………』
伊野尾の呼びかけに…
智の声が重なり…
翔の頭の中で鳴り響く……

『翔……好きにすればいい……』
自分はマヌケだった………………

クラブで、しょっちゅう顔を合わせていながら
伊野尾の芝居に…ウソに気がつかなかった。
でも、智はそれをたった一発で見抜いた…。

男同士の恋の駆け引きを知りすぎているからこそ

伊野尾のおとなしげな態度や華奢な見てくれにも
だまされず、瞳の奥に隠れている欲望の炎だけを
見ることができたのだろう。

なのに…………
俺は………………

智の我が儘だと思ってしまった。

ごめん………………




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