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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第5章 窮鼠猫を嚙む



俺のせいで具合を悪くしたという罪悪感を感じ、
自分は正当だと思える理由が思い浮かべば
他の男を優先するのだ。

翔は優しい…いや、優しすぎる男だから……
正義感が強い男なんだ。

そして、決して自分が決めたことは
揺るがない男だった………………。

だから、どうして今、この瞬間自分を選んで
欲しいと望むのか?
智の気持ちなんか理解できないのだと思う。




伊野尾からぶつけせれた言葉に傷つけられ
悩まされて、妙な嫌がらせの手紙に
怯えさせられ、
それでも、翔の邪魔はしないように
サッカーの練習を見に行くことを我慢して、
自分の存在が邪魔にならないように、
連絡を入れることを控えて、
ただひたすらに翔からのコールを待っている智の
ジリジリと炙られるような
気持ちを察してくれることはないのだろう。


翔はきっと、お互いの想いが確かなら
どんな事態がおきようと切り抜けられる……

そんな自信があるのだろう。
だからこそ、こんなに悠長に構えているんだ
こいつは……

智はそんな考え自体がノンケの男の傲慢さを
感じていた。

どんなに躰を重ねても埋まることのない、
溝がそこにある。

別れる不安を微塵も持たない翔と
常にその日を意識している智との間に横たわる
深い深い、深海よりも深い溝が………。


どうせ、何度言ってもわかってもらえない。

だから…………


もういい。





「いいよ。身体の弱いマネージャーが俺の
不用意な言葉で病気になったんだろう?

お前がそばにいれば元気になるんだろう?

って言うか、お前はそばにいてやりたいと
思うなら……そうすればいい……よ。」

「ホント?」

「ああ……翔の好きにすればいいと思う……」






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