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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第5章 窮鼠猫を嚙む



「ふん!!悪うございましたねー。
お優しくなくって…。

でも、俺にだってプライドがあるんだよ。

売られた喧嘩は買うのが礼儀だと
思っているんだよ!!

頑固者でひねくれ者のゲイですいません
でしたね。」

「…………」
翔はほとほど困ったような顔をして、
黙り込んでしまった。

(俺って…ホントダメなヤツ……
自分が情けない。

もう少し冷静になればいいのに…
一度頭にくると口からは思ってもいない言葉が
次々と飛び出していく…

超イヤなヤツじゃん…………。)

翔が、伊野尾をほっておけないってことは
いやってほどわかっているのに……。

でも…わかっていても、
心のどこかでモヤモヤが収まらなくて
どうしても、納得できない。

智にとって最優先順位が翔なのに……
たとえ、和也が病気になったとしても
翔との約束があれば、和也にはとりあえず
電話でも、LINEでも連絡を入れてから
翔の元へ行ってしまうだろう。

和也を宝物のように大切にしているのは
潤なのだから、もちろん心配してやるのも
あいつの役目だと思う。

だから、自分にとって一番は大事なのは、
恋人の翔だけだ…。

智は過去に四人の男に突然別れを言い出され、
どれほど愛する相手でも、
もしかしたら明日にはいなくなって
しまうかもしれないと
思い知らせれてきたから……。


そのことがあったからこそ、
今この瞬間は、何よりも恋人を優先したい。
それが、智の価値観なのだ。




でも……


翔は違う…………。

友人が病気になったと聞かされれば、
たとえ、恋人が寂しい思いをしていても
そっちを優先してしまう。

『お前だったら…
きっと解ってくれるよなぁ…』

親切心?
仲間意識…………?

それとも、罪悪感?



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