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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第5章 窮鼠猫を嚙む



『心配』なんて言葉で
翔に対する恋煩いを正当化して、
邪魔者を排除しようとしてる卑怯者に
遠慮してやる必要はないんだよ。
と、智は本気で考えていた。

たとえ7っも年下だろうが、
こと恋愛に関しては年齢差なんて関係ない。

fifty、fiftyのはずだろ。

「翔の将来を本気で考えて案ずるなら、
伊野尾君こそ翔に近づくべきじゃないんじゃないか?」

智の射るような強い瞳の前では、
もう伊野尾は返す言葉もない。

「……………」

哀れに肩を落とし、
うなだれてしまった伊野尾を見ながら、
ヤバイ…
子供相手少々キツイことを言ってしまった……
と、一瞬頭をよぎった後悔だったが、
そんなものはすぐに消えた。

なんと敵もさる者だった。

憔悴とした様子をみせながらも、
チラチラとあたりをうかがう視線には、
どこか子狡さが感じられる。

華奢そうに見える身体
どこか守ってあげたくなるような……、
幼さを感じさせる女顔

その容姿すべてを駆使して、
同情を引くために意図的に打ちひしがれる
フリをしているのだ。

(なんだ~芝居かよ。
どこまであざといんだよ。
ホント呆れたもんだよ~)

こっちだって、今まで散々恋のライバルと
闘って蹴落としてきた経験があるんだ。

儚げを演じているだけの青二才なんかの
見てくれに騙されるほど、甘くないんだよ。

さてさて、こうなるとだ身体が弱いって話も
かなり怪しいかも……………。

実際、喘息って持病があるなら、

けっこう重労働らしいサッカー部の
マネージャーを引き受けるなんて、
親が許さないんじゃないの?

すべてが、翔の気を惹くための
芝居かもしれない。




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