第14章 魔王の平生 ~後編~誕生記念 【織田信長】R18
酒で桃色に頬を染め、目が潤んでいる莉乃。
今日はずっと隣にいたというのに、あのように酔って艶が増し、無防備になった姿に目が離せない。
武将たちの中に置いておくのは気が進まなかった。
案の定…
「ちょっと莉乃、あんた酔っ払ってるんじゃないの?」
次に仕掛けているのは家康だ。
あいつも莉乃の愛らしさに当てられた口か。
「え、そうかな。 あ~でもちょっとふわふわするかも」
「はぁ… ほんと、世話焼けるんだから…
ほら、風、当たりに行くよ。」
「家康様! 私もご一緒いたします!!」
「三成、またお前なの。
なんでこういう時ばっかり混ざろうとするんだよ」
「こーら、宴の席でけんかしない。
莉乃酔ったのか?? 大丈夫か?
妹の面倒を見るのは兄の役目だ。妹よ、風に当たりに行くぞ」
腰に手を沿え、立たせようとする。
「秀吉お前…案外図々しいな」
光秀が笑っている。横には政宗が転がって寝ていた。
どれもこれも、宴のいつもの慣例となりつつある莉乃への構いだった。
「では、みなさんで風に当たりに行きません?」
莉乃が妥協案を提案するも… 誰もうんと言わない。
「貴様ら、そこまでだ。
無礼講だとは言ったが、人の女に手出しをして良いとは言っとらんぞ。
莉乃こちらに来て酌をせよ」
これもいつもの流れだった。
誰が莉乃を連れ出させるものか。
隣で酌をする莉乃にそっと耳打ちする。
「貴様に命ず。今夜、夜伽をせよ」
威厳ある天下人、安土城城主 織田信長へと完全に戻った瞬間だった。
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