第39章 千歳の誓約 後編 【織田信長】R18
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(信長Side)
数日後。
信長 「は?今何と申した?」
莉乃と共に天主へと向かう廊下で、思わず足を止めた。
腹が痛いと申す莉乃にもしやと淡い期待を抱いたが、それはすぐに打ち砕かれる。
莉乃に月のものが来たと言う。己の耳を疑った。
信長 「あんなに子種を注いでやったのに、孕んでおらんのか」
「信長様、いくらなんでも一度で孕むのは難しいかと。
それに、あの晩はその・・・危険日ではありませんし・・・」
何やら恥ずかしそうに言うが、意味が分からない。
信長 「貴様が俺といて危険にさらされるなど、あるわけがなかろう」
困ったような顔で俺の言葉を聞いている。
「信長様・・・宴で言いましたよね、子供の前に、、、」
莉乃ははにかんだように微笑むと、何かを期待するような顔をして見せた。
信長 「はて、何だったか」
表情を変えず、莉乃の言っている事に分からないふりをする。
ちらりと目をやると、少し口を尖らせるその横顔。
愛らしいにもほどがある。
天主の衣桁にかかる白無垢を見たら、この顔がどのように変化するのだろうか。
俺は隣に立つ莉乃の姿を想像し、一人満足げに頷いた。
千歳の誓約 _完_