第14章 魔王の平生 ~後編~誕生記念 【織田信長】R18
___安土城 宴会の間 誕生日の宴
「あの時の信長様の顔ったら…
『あるだけ出すがよい。』なんて、信長様だって知られてしまうと気が気じゃなかったよ!」
大きな笑い声が起こる。
今夜は無礼講だと先に宣言したせいか…
俺の先ほどの市での言動を莉乃が武将たちに聞かせていた。
無論、口付けの部分は無く、だが。
「団子の買い方なぞ知らん。
それに莉乃が物欲しそうにしておったから、腹いっぱい食わせてやろうと思っただけだ」
少々不機嫌な顔を作って見せる。
「確かに、甘味屋の前で莉乃は物欲しそうにするもんな」
ほろ酔いの秀吉が肘で突きながら莉乃にそう言うと、
「なんだかんだ言って、信長様を連れ回してあんたが色々食べたかっただけじゃないの?」
家康までこの有様だ。
「ちょっと!みなさんひどい!!」
莉乃はつんとした顔を見せる。
その顔にも武将たちは大笑いだ。
「信長様、城下はいかがでしたか?」
三成に問われた。
口をつけていた盃を静かに置くと、皆が一斉にこちらを向く。
「俺は実際にこの目で町民たちの生きた生活を目の当たりにし、天下統一への士気をより高めた。
毒見のされていないものを食したのは初めてだったが…
なかなかに有意義な時間だった。
皆の者、このような計画に感謝する。
莉乃、貴様の案内もなかなかであったぞ。」
そういって杯を上に掲げると武将たちもそれに習い、各自の盃を掲げ口をつけた。
莉乃は満足そうに笑顔を見せている。
「今夜は~無礼講なんだよな~、
莉乃~~この後俺の御殿に来いよ。夜食作ってやる~」
政宗がふざけて莉乃に絡む。
「政宗さん、酔ってるの? 呂律おかしいんだけど…」
「いや、一滴も飲んでない…はずだが、おかしいな、眠気が…」
光秀がくすくすと笑っている。
「お前っ!また政宗の茶に酒を混ぜたのか!?」
秀吉が問い詰めると
「普通は匂いで気づくものだけどな…」
…いつもの宴の成り行きだった。