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【イケメン戦国】永遠の始まり~満ちて果てて~

第13章 魔王の平生 ~中編~誕生記念 【織田信長】



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「信長様、手を…」


「手?」


「今日は逢瀬ですから…」


そう言って、頬を少し赤めて手をつないでくる莉乃。


女と手をつないで歩くなど、初めての経験だった。
なかなか、良い心地だ。




「馬ではないのか?」



「信長様… 私たち町民ですよ? 馬で移動なんてしません」


「そうか」


今まで当たり前だったことが今日このときは当たり前でない。
この提案に早くも心が踊っている自分がいた。









「そこのおにーさん!!団子はどうかねーー!?」



「貴様…お兄さんとは、誰に向か…おい!莉乃何をする」



莉乃に強く袖を引かれる。




「ちょっと信長様! 町民で、ですよ!!」


慌てて小声でたしなめてくる莉乃…




「あぁ、そうだったな。」

…これはなかなかに難儀である。






「信長様、一緒にお団子食べましょう!
ここの茶屋のお団子、今流行りだそうですよ」



「団子に流行りも廃りもあるのか…  
貴様がそういうのなら存分に食せ。


おい、そこの団子屋。 あるだけ出すがよい。」




「ちょ!!ちょっと信長様!! 
町民はそんな買い方しませんっ!


す、すみません、2本ください、あとお茶をお願いします」



「は、はい…」


店のものが訝しんでいる。…なぜだ。


すぐに団子と茶が出された。



「毒見は済んでおるのだろうな?」


「ど、毒見??」


「す、す、すみません、この人、時代劇の見すぎでっっ!
気にしないでください!!」



「は、はい!?」



莉乃はしどろもどろに言っているが、その表情も愛らしく、団子などどうでもよくなった。



「貴様、その量で足りるのか?」


「信長様、今日は市を見て周り、色々と食べ歩く予定です。
だから、ここでお腹いっぱいにしちゃだめなんですよっ」


「食べ歩く、のか…」


幼い頃から躾役が付いていた俺には、食べ歩くなどという無作法はしたことがない。

町民がしているのは知ってはいるが…己が経験する日が来るなど思ってもいなかった。




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