第12章 魔王の平生~前編~誕生記念【織田信長】R18
「み、三日後!? そうなのね…」
「あぁもう、そんな目するなって。」
「大丈夫だよ、信長様がお忙しいのは理解してるし。」
そういって無理やり笑顔を作る。
「来月には信長様の誕生日だ。その頃にはきっと時間が作れる…はずだ。」
「ありがとう、秀吉さん。そうだといいなー。」
よほど切ない顔をしてしまっていたのだろうか…
「妹分にそんな顔させておくのはな… 俺がなんとかするから。」
頼もしい笑顔でまた私の頭を撫で、書庫から出て行ってしまった。
3日が、それ以上にとてつもなく長い時間に思える。
会えなくても、隣にいたというぬくもりが支えてくれていたのに…
もしも信長様が天下人ではなく普通の彼だったら…
淡い願いを持つことはやめられなかった。
例えそれが叶わないものだとしても。
______________
___4日後の夜明け前。
布団がめくられたと思った瞬間、隣に待ち焦がれた温もりが滑り込んでくる。
背中に手を添え私を優しく抱き、額に口付けされた。
その愛しい方を視界に入れるため、私はゆっくりと目を開ける。
「おかえりなさい、信長様」
「あぁ、今戻った」
信長様の背中に手を回し、そのたくましい体を抱きしめた。
「信長様がいないと…よく眠れません。」
「ふっ、それはこちらの台詞だ。
貴様は何よりも上質な俺の枕だからな」
「私が枕なら、信長様は…布団?でしょうか。
どちらが欠けても、よく眠れません」
私もふふっと笑う。
「貴様、この俺を布団扱いするとは良い度胸だ。
よかろう、それならば…」
そう言うと、私の上に覆いかぶさって来る。
「の、信長様っっ、もうすぐ朝ですよ?!」
「だからどうしたというのだ?
俺は布団として貴様を温めてやろうとしているだけだ」
そういっていたずらっ子のようににやりと笑う。
「もう…信長様には敵いません」
久しぶりに重ねた唇は私に火を灯し、あっという間に内側から焼き尽くす。
開かれた着物から素肌が出てしまっても、信長様が与えてくれる熱で寒さは感じなかった。