第10章 紺青の享楽 ~後編~ 【伊達政宗】R18
そうするのがごく自然だと言うように、俺は莉乃を抱き抱え褥へ連れて行こうとする。
「政宗、待って」
「おい、ここで俺を止…」
そう言って莉乃の目を見た時、時が止まったように動けなくなった。
今まで見たことのない、「求める目」をしていたからだ。
___「私からも、もっと愛情を表現したい」
さっきそう言っていたことの意味を身を持って知ることとなり、
「俺が全部受け止める」そう言ってしまったことを若干後悔したのは、その少し先の事だった。
莉乃に褥に連れて行かれた。
もちろん、あいつが俺を抱き抱えたんじゃない。
そっと人差し指を握られ、先導されて歩いただけ、だ。
連れて行くのはいつも俺だったから…
ほんの数歩、それだけなのに俺を欲されているのを感じて体の奥に熱が呼び起こされる。
褥の上で立ったまま莉乃に口づけしようとすると、
「今日は、私からしたいの。
全部を受け止めて…くれるんでしょう?」
そういって艶々の目でじっと見つめられた。
「あ、あぁ。分かった。」
こんな返事しか返せなかった。
女から言われたことがないこの台詞に、早くも俺の欲がせり上がってきている。
莉乃は背伸びして俺の唇を捉えると、ぺろりと舐めた。
あいつがしやすいように、下を向く。
何度も重なる唇。
そして、柔らかくて小さい舌が入ってくる。
俺の舌を吸ったり絡ませたり、今までの口づけが嘘だったかのように俺の中を味わっていた。
思わず俺が舌を入れ返そうとするとすっと口を離され、「だめ。」とたしなめられてしまう。
大人しくするしかなさそうだ。