第9章 紺青の享楽 ~前編~ 【伊達政宗】
政宗との関係で特に悩んでいるのが・・・・・・
褥(しとね)でのこと。
政宗は私を求めてくれるし、実際…もう何度か夜を共にした。
この時代の女性は、夜の営みでも…男性を受け入れる「だけ」なのだろうか?
自分から情熱的に求めたりしないの??
政宗からの愛を受け取るだけでいいの?
あぁ、分からない…
こんなこと、誰にも聞けないしなぁ…
愛してくれている人から嫌われたくない。
やっぱり時代が違う女とは…と付き合ったことを後悔されたくない。
はぁ~~………
はぁぁ~~~…… 悩む・・・・
「小娘……
いい加減、書庫でため息ばかりつくのはやめろ。
気が散って本の内容が頭に入って来ないだろう」
「っっ!!!
み、光秀さんいつからそこに!!??」
ビクリとして椅子から落ちそうになる。
「だいぶ前からいたぞ。
悩みを抱えているのはよく分かった。どうせ些細なことだろうが…
お前のささやかな脳みそでは解決できぬのだろう?
百面相を楽しませてもらった礼に聞いてやる。話してみろ。」
「そ、それって遠まわしに馬鹿にしてますよね??」
「いや? 直接的に言ったつもりなんだが。
で、何に悩んでいるのだ? まぁ、政宗絡みだろうがな」
にやりとしながらも、机の目の前に座って頬ずえをつく。
話すべきか迷って…ごく「一般的な事」として聞いてみることにした。
「…私が500年後の世から来たのは、ご存じですよね。」
「あぁ。」
「私がいた時代では…
女性も仕事を持ち、結婚するまでは自分で生活を切り盛りするのはごく普通の事なんです。
結婚をしても、仕事を続ける女性は大勢いますし。
自分の意見や信念を持ち、男性と対等に生活をしています。」
「ほう、なるほど。」
「そして、その…恋愛においても、積極的に、と言いますか…なんというか…」
「ん?」
「えっと…この時代の女性ってなんでも男性に任せっぱなしなんですか?」
「は? 何が言いたいのだ??」
「ですから… あぁ、もう…
こ、この時代の女性は常に男性に対して受身なのですか??」
「バカじゃないの」
突然背後から家康の声がして飛び上がった。