第7章 淡藤の深謀 ~前編~ 【石田三成】
(莉乃 Side)
___後日の軍議にて
「以前のように心の声が漏れなくなってきたな、小娘」
光秀さんにからかわれる。
「三成くんにしっかり教えてもらっていますから。
今日の軍議も、全部完璧にとはいきませんが、だいぶ理解できるようになりましたよ」
「良い師からの教えは人間を成長させる。このまま精進せよ。」
信長様も満足そうだった。
ちらりと目線を向けると、にこにこと満足気な三成くんと目が合う。
「なんだ、三成と莉乃、ずいぶん親密そうじゃねーか。
気に入らねぇ。
俺は料理を教えてやるよ。今夜、俺の御殿に来い」
にやりとしながら政宗が腰に手を回して来ようとする。
「政宗!
お前は料理を教えようとするんじゃなくて、莉乃を料理しようと思ってんだろ。
お前の考えこそダダ漏れだ。 獣野郎が!」
そう言って、秀吉さんが腰に回そうとしていた腕に手刀を入れてくれた。
「いてっっ」
「では、俺は莉乃に銃の扱いを指南してやろう。
文字通り、手とり足とり、な」
そう言って光秀さんがにやりと笑う。
「光秀まで莉乃をからかうのやめろ!
俺は一人しかいないんだ。お前たちが莉乃にちょっかいをかけると、同時に見張れん」
「お前に関係ないだろう、兄貴気取りが。」
「…はぁ、くだらない…」
家康はため息をついていたが、口に笑みが残されていた。
そんなやり取りでみんなが笑う。
___ただ一人、三成だけは笑えずに複雑な心境でその場に立っていた。
軍議が終わり、城の書庫へ向かう。
三成くんが先に入っていく姿が見えたからだ。
軍議終わりの三成くんは少し元気がないように見えた。
「三成くん?」
「あ、莉乃様」
「大丈夫??」
「何がでしょうか?」
「あの…なんだか少し元気がないように見えて」
「ご心配いただきありがとうございます。大丈夫ですよ。」
「それなら良いんだけど…
何か悩み事があったら、私で良かったらいつでも聞くからね。
あ!そうそう。
今日の軍議、皆さんの話してた内容がだいぶ理解できてたよ。
三成先生のおかげです、ありがとう。」