第7章 淡藤の深謀 ~前編~ 【石田三成】
(三成Side)
「莉乃様、正解です! よくご理解されているようですね!」
私の出した問いに全問正解だった莉乃様。
解いている時のその横顔は真剣そのもので、ずっと眺めていたいほどだった。
「三成くんの教え方が良いからだよ!」
そう言ってはにかむ莉乃様。
___今、かもしれない。
「莉乃様、えらいですよ」
そう言って、秀吉様がされていたように艶やかな髪に手を伸ばし、くしゃりと撫でる。
途端、ビクっと肩を震わせた莉乃様…
「ど、どうしたの三成くん、、、」
莉乃様は明らかに動揺していた。
「私が触れるのは…お嫌でしたか?」
秀吉様にはあのようなお顔をされていたのに…不安になる。
「嫌、ではないよ。
でもね、えっと…なんかキャラじゃないというか…」
「きゃ、きゃら??」
「んーーーー、
三成くんは気安く女性に触れる性格じゃないでしょう?」
「そ、そうですね。大変失礼いたしました。
では、先に進めましょうか」
そう言って何もなかったかのように授業に戻る。
(どういったものが私の「きゃら」なのでしょう…?)
心の中では…
今しがた触れた莉乃様の艶やかな髪のひんやりした感触に意識が向きすぎて苦しくなった。