第38章 水色桔梗 ~2020誕生記念~ 【明智光秀】
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私たちが広間に戻ると、上座の信長様が片眉をピクリとあげた。
信長 「ほう、光秀が早速手を付けたか。
もう少し辛抱が効く男だと思っておったがな。」
政宗 「おい!光秀はやめとけって言ったろ?!」
「え??」
私たちを交互に見た秀吉さんはワナワナと震えている。
秀吉 「光秀てーーめーーーぇーーーー
妹の敵――っ、ぶった切ってやる!!
莉乃、無理矢理されたんだな、かわいそうに・・・
うがいしてこい、うがい!」
光秀 「敵とはなんだ、敵とは。飲み過ぎだぞ秀吉。」
「わ、私たち、べ、別に何もしていませんっ」
家康 「へーー、
じゃあなんで光秀さんの口に莉乃と同じ色の紅が付いてんだろうね。」
三成 「ま、まさか光秀様に化粧(けわい)のご趣味が・・・?」
政宗 「はっ!そうだったのか!?だからか・・・
光秀・・・自分らしく生きていいんだぞ。」
「えっ!? 化粧の趣味!?そうなんですか!?
み、光秀さんが男の娘(こ)・・・
だ、大丈夫ですよ、光秀さん!
500年後では男性の化粧もわりと普通ですから!」
家康 「・・・・・・!!??(開いた口がふさがらない)」
秀吉 「えっ、え!?」
光秀 「信長様までそんな顔で見ないで下さい。
とんだ誕生日だ・・・」
やいやいとそれぞれが言い合う中、宴が再開される。
一層賑やかに、あちこちで笑いが起きていた。
私は隣に座っていた光秀さんにお酌をする。
「改めまして、お誕生日おめでとうございます。
それと・・・さっきは、、、」
光秀 「もしもお前が先の世に戻れなかったら・・・
そいつの代わりにもらってやる。」
「何をですか?」
光秀 「ふっ、いや、なんでもない。」
光秀は莉乃の頭をくしゃりと撫でる。
秀吉が触るそれとは、違う意味だった。
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信長
(やはり光秀か)
何やら耳元で話す光秀を見ながら、信長は盃をぐいっと煽った。
二人の前途を祝うように。