第38章 水色桔梗 ~2020誕生記念~ 【明智光秀】
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宴の晩から時は流れ、、、
その先の、その先の、もっともっとずっと先のこと。
縁が結ばれ命が紡がれ、そしてまた新たな1人が誕生した。
その男の子は家康が礎を築いた東の地で生を受け、すくすくと元気に育っている。
「ねぇ母さん、これなに?」
「あぁ、それはアザっていうの。うちの家系を継ぐ男の人にはどこかしらにあるんだって。」
「父さんにも?」
「そうよ。お父さんも、おじいちゃんも、ひいおじいちゃんも、もっともっと、ずーっとさきのおじいちゃんにもあったんだって。不思議だね」
「へぇー。あの教科書のおじいちゃんにも?」
「あったかもしれないね。」
男の子は薄い色の瞳で、左手首にあるその箇所を興味深そうにじっと見ていた。
水色桔梗 _完_