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【イケメン戦国】永遠の始まり~満ちて果てて~

第38章 水色桔梗 ~2020誕生記念~ 【明智光秀】




秀吉 「うん・・・」


いつも兄のようにてきぱきと世話を焼いてくれる秀吉さんが、このように言葉を濁すなど見たことがなかった。
それでもなぜか今は催促してはいけない気がして、続く言葉を肩を並べて歩きながら待つ。



二人の間に続く沈黙。
城に入り、自室に到着してしまう直前。


「秀吉さん?」


莉乃が意を決して秀吉の方に目をやると、そこにはいつになく真剣な目をした秀吉の表情があった。


秀吉 「ここを・・・本当の家と思え、な?
お前は信長様のお命を助けたからここにいるんじゃない。
確かに始めはそうだったが、今は違う。
俺は莉乃の事を妹のように思ってる。
家族に不自由や、寂しい想いは・・・させない。」


いつものように、そしてそれが兄に与えられた当たり前の権利かのように、頭をポンポンと撫でる。



(昨晩の宴で元の世でのことを話してしまったから・・・。
秀吉さんは体調のこと、そして何と言って慰めていいのか考えてくれていたんだろうな。)


秀吉の大きな手のひらから伝わるその暖かさが、莉乃心にも広がっていった。


「ありがとう、秀吉さん。
私も秀吉さんのこと、お兄ちゃんみたいに思ってるよ。
頼りにしてるね」


莉乃の本心からの笑顔に、秀吉の心にも温かさが灯っていく。


秀吉 「だが!飲み過ぎには気をつけろよ。
まったく、昨日のお前の姿に気が気じゃなかったぞ。
あんなでも一応男だからな?あいつらも」



「はぁい、気をつけます。送ってくれてありがとう。
それから・・・
気にかけてくれて、ありがとう。」



莉乃は自室に戻り、静かに障子が閉められた。
秀吉は廊下を数歩行ったところで、ふと足を止める。
廊下の柱に背を預け、ため息をついた。


「くそっ!何が『妹』だ。何を言ってるんだ俺は。」


手のひらに残る、莉乃の髪のひんやりとした感触。
いつも当たり前に撫でているのに、今日はそれが特別なことに思えた。


兄ならば、これ以上のふれ合いは許されないのだから。


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