第38章 水色桔梗 ~2020誕生記念~ 【明智光秀】
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大きな月が夜空に浮かぶ、長月の安土城。
季節は日々移り変わり、暦は神無月へと移ろうとしていた頃。
城の大広間では、城主・信長の号令で宴が始まっていた。
そこに集うのは武将たち、そして莉乃といういつもの顔ぶれ。
家康 「今回は『月見』でしたっけ。で、先週は『暑気払い』。
莉乃が来てから、何かと理由こじ付けた宴が増えましたよね。」
秀吉 「いいじゃないか。
俺は信長様とご一緒に飲む機会が増えて嬉しいぞ。」
三成 「私も、皆さんとこうして過ごすことが出来て嬉しいです!」
三成のその発言を聞いた家康は、めんどくさいという顔をしながら盃を煽っている。
秀吉 「嫌なら来なきゃいいだろう。
前は誘っても来なかったじゃないか。」
政宗 「『家康もおいでよ~』って莉乃に言われたら断れないよな!?」
家康 「ちっ、違います、そんなんじゃありません。
それと政宗さん・・・莉乃の声まねするの、気持ち悪いんでやめてください」
暖かい笑いが起きる広間。
三成 「次の宴は、光秀様のお誕生祝いですね!」
秀吉 「『こじつけ』じゃない宴だな!」
ニコニコと話す三成と秀吉のその情報に、莉乃がすぐさま反応する。
「光秀さんのお誕生日?いつなの??」
三成 「神無月の四日ですよ。」
それを聞いた莉乃はハッと息を飲んだ。
そして、口を付けていた盃をそっと卓上に戻す。
「・・・・・・だから似てるのかな」
しゅんとうつむいて、一言ぽつりとつぶやいたのを政宗は聞き逃さなかった。